行くよ

よしきと言います。1994年生まれ 大学卒業後、製菓の仕事、福祉の仕事を転々として いま現在フリーター。

なりきる

じぶんのことを意識しすぎると、何も書けない。
目の前に鏡があると、書けない。

何を見てればいいのだろう?

真似をするって何だろう?
オリジナルって何だろう?
人の気持ちを動かすことって何だろう?
ホンモノは傷つくのかな。
ニセモノは楽しそう。

じぶんを出しなさい、あなたの人生を行きなさいと言われると、わからなくなってしまう。

誰かの仮面をかぶれば、世界に入り込めるのかな。

ウルトラマンの仮面を被る。

シュワッチ!
シュワッーーチ!

ダメだ、書けない。

オリジナルとか、自然にしようとすると、何にも書けない。

わたしはコップだ。

わたしはメニューだ。

わたしはウォークマンだ。

広告用紙になりきってみる。

広告用紙って いつも見られて 恥ずかしくないのかな。

広告用紙の中の人は いつも同じ表情。
じっと見つめられて、ずっと笑っている。

目の前に 野球選手のピッチャーが、いま、
まさに、投げる瞬間の広告。

その上に 「つなげよう 火災予防」と書かれている。

この野球選手も 「無理があるぜ」と思ってるんじゃないかな。

僕の頭の上にある 裸電球。
たまにしか 掃除してもらえないんだ。
少しずつ汚れがついていき、虫が止まったりする。
それでも、動けないんだ。
それって 辛いことだ。
もしも、物にも 感情があったら、辛かっただろうなと思う。

なんか面白いな。

夕暮れになりきってみる。
「ほ〜ら、子供たちよ、さみしがれ さみしがれ〜もう、帰る時間だぞ〜、帰りなさい。」

おれは屋根だ。
雨に当たる。陽射しが強い日もある。
だんだんと、色は禿げてくる。
そんなおれの色を染めてくれる時もある。
おれは、輝く。空よりも輝くんだ。
たまに、空気清浄機を乗せにおれの上に、
大人たちが体重をかける。
いててて・・・・ 頼むぜ。
そこんとこには、鳥の巣があるんだ。
おれの会話相手なんだ。


わー、面白い!

じゃあ、次は


おらっ、コタツだ!
そこのスイッチを押してごらん。
そうだ、そうだ 弱がいいんじゃないか。
あっ、そうだ いまは 夏か・・・・
いまは おらの出番じゃない。
冬のおらは 大活躍さ。
みんなの足を おらの懐で 温めるんだ。
へへへ、楽しいぞ!
たまに、横になって 眠るお父さんも いるんだ。
そんな時は 「眠れや、眠れ」と 歌うんだ。
でも、お母さんが「そんなとこで、寝ていると 風邪引くぞ!」って言うんだ。
それで、スイッチの電源を切られて、
おらの仕事は 終えるんだ。
夏場は 倉庫の中で、汗をかく。



スーツになりきる。
まず、一言 いいたいのだが、帰ってきたら、ハンガーにかけてくれ。
いいか、もう一度 言う。帰ってきたら、ハンガーにかけてくれ。
おれは、ソファーの野郎が嫌いなんだ。
ソファーの上に ぽいっと投げ捨てないでくれ。
今日1日、一緒に働いた仲じゃないか。
相棒よ。頼むぜ。
もーいっかい言う。
帰ってきたら、手を洗い うがいをして、ハンガーにかけてくれ。
おっ、今日は かけてくれたな。
ありがとう。

わたしは BGMよ。
わたしがいないと、世界は退屈でしょう。
いまを華やかな無駄な場所へ送り届けるわ。
放課後の学校では クラシックが 流れるのよ。
わたしは 思い出を作る役目なの。
忘れられる時も あるわ。
でも、音楽が流れると 生き生きと思い出を遊び出すの。
みんなに いつも 楽しめ!楽しんでおくれ!楽しもうよ!と呼びかけてるの。
さぁ、遊びましょ。


こんにちは、今日さん。
わたしは 明日です。
さあ、早くいらっしゃい。
面白いわよ。待ってるわよ。
あら、明後日さん、こんにちは。
なに?なに?
あなたも 面白いって?
楽しみだわ。